飢えたライオン

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「フェイクニュース」全盛時代を生きる私たちへ突きつける78分

近年、報道のあり方について考える機会がとても増えたように思います。特に話題性のある事件や事故になると、被害者やその家族の人権などお構いなしに、実名やプライベート写真を使い、各メディアの報道がエスカレートしていきます。またネットでは、信憑性の不明な被害者情報が晒され続けます。そしてこれらによって現実とは違う被害者像が一人歩きすることもあります。

本作は、映像や情報の持つ「加虐性」を描き、その映像を消費し、無意識のうちに加虐に加担してしまっている私たちの中にある「邪悪さ」をあぶり出します。「邪悪さ」とは私たちの外側にあるのではなく、常に私たちの内側にあるものではないでしょうか。

海外映画祭からの上映オファーが殺到

ワールドプレミアとなった第30回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門に出品され、チケットが即日完売。

続く、第47回ロッテルダム映画祭を始め、オーストラリア、スペイン、アメリカ、スイス、ドイツ、韓国、イタリア、デンマークなどと海外映画祭からの上映オファーが殺到した注目作。(2018年5月現在)

各映画祭では、現地大学生に向けた特別上映プログラムが組まれ、世界共通の社会問題として、「チャイルドポルノ」「リベンジポルノ」について、学生と監督とのディスカッションが実現した。

  • ワールドプレミア
  • ロッテルダム映画祭

ストーリー

少女は、何度も殺される

ある朝のホームルームで、主人公・瞳(18)のクラス担任が未成年への淫行容疑で警察に連行された。担任の性的な動画が流出し、その相手が瞳だという噂が学校内で流れ始める。そんなデマはすぐに忘れられるだろうと軽く考えていた瞳だが、中学生の妹やフリーターの彼氏・ヒロキからも噂のことを問いつめられ、不安になっていく。

噂の影響で、瞳を性の対象として見るようになっていく周囲の男たち。友人、先生、家族にも信じてもらえず、追いつめられ、自ら死を選択する瞳。

担任教諭の逮捕と生徒の自殺は、世間の注目を集め、マスコミの報道は過熱していく。そしてその情報は、ネットや人づてにどんどん広がり、社会によって瞳の「虚像」が作られていくのだった。

  • イルミネーション
  • 食卓
  • テレビ

監督プロフィール

緒方貴臣プロフィール写真
緒方貴臣(Takaomi Ogata)

1981年福岡市生まれ。高校中退後に起業し、25歳で退社するまで共同経営者として会社を運営する。海外を放浪の後、映画の道に進むために上京。映画学校へ行くが、3ヶ月で辞め、2009年より独学で映画制作を始め、初監督作品『終わらない青』(11年)が沖縄映像祭で準グランプリを受賞し、劇場公開される。

続く『体温』(13年)では、2年連続でゆうばり国際映画祭コンペ部門に選出され、国内外7つの映画祭で正式招待。

前作『子宮に沈める』(13年)は、大阪2児放置死事件を基に制作され、児童虐待のない社会を目指す「オレンジリボン運動」の推薦映画となり、厚生労働省の定める「児童虐待防止推進月間」である11月に劇場公開される。その他、病院や大学など全国各地で行政や市民による自主上映会も開催。社会問題を独自の視点と洞察力で鋭く切り取り、作品を通して世の中への問題提起を続けている。本作『飢えたライオン』で4作目となる。現在、次回作を準備中。

キャストプロフィール

松林うららプロフィール写真
松林うらら(Urara Matsubayashi)杉本瞳役

1993年東京都生まれ。18歳でスカウトされモデルとして活動を始める。

映画『1+1=11』(12年・矢崎仁司監督)ではオーディションで主演に抜擢され初のスクリーンデビューを果たす。特技は日本舞踊、俳句、独唱など。大学にて歴史学・美術学を専攻し、アメリカ、韓国、ベトナムに留学経験がある。

映画を主に、ドラマ、広告、舞台と幅広く活躍し、儚さと強さを秘めた独特なオーラで多くの監督から定評があり、今後、期待の若手女優として注目を集めている。

水石亜飛夢プロフィール写真
水石亜飛夢(Atomu Mizuishi)藤川ヒロキ役

1月1日生まれ、神奈川県出身。ミュージカル「テニスの王子さま」2nd seasonで俳優デビュー。

主な出演作は、『鋼の錬金術師』(17年・曽利文彦監督)、『武曲 MUKOKU』(17年・熊切和嘉監督)、『いぬやしき』(18年・佐藤信介監督)、『花は咲くか』(18年・谷本佳織監督)、ドラマ「東京ヴァンパイアホテル」(17年・園子温監督)など。

待機作に、映画『青夏 きみに恋した30日』(18年・古澤健監督)がある。

筒井真理子プロフィール写真
筒井真理子(Mariko Tsutsui)杉本裕子役

山梨県甲府市出身。早稲田大学在学中より鴻上尚史主宰の「第三舞台」で看板役者として活動。

1994年に映画『男ともだち』(山口巧監督)で主演デビュー。以後、舞台をはじめ映画・テレビ・CMと幅広く活躍。

主な映画出演作に『クワイエットルームにようこそ』(07年・松尾スズキ監督)、『アキレスと亀』(08年・北野武監督)、『ヒーローショー』(10年・井筒和幸監督)、第39回モントリオール世界映画祭正式出品『かぐらめ』(15年・奥秋泰男監督)、『Love of Love』主演(16年・園子温監督)など。

2014年NHK連続テレビ小説「花子とアン」で嘉納家の女中頭・山元タミ役を好演。

カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した映画『淵に立つ』(16年・深田晃司監督)では、主演女優賞三冠を達成(毎日映画コンクール、ヨコハマ映画祭、高崎映画祭)。本作を初め今後も数々の出演作の公開を控える。

菅井知美(Tomomi Sugai)木下美咲役

1997年9月13日生まれ、東京都出身。

『先生!』(17年・三木孝浩監督)、『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』(15年・山口雅俊監督)、『独裁者、古賀。』(14年・飯塚俊光監督)など映画を中心に活動中。

また、2017年 第四回新人監督映画祭では自身初の主演映画『windchime』がコンペティション部門短編作品部門グランプリを受賞するなど、今後が期待される若手女優の一人。

日高七海(Nanami Hidaka)尾田七海役

宮崎県出身。幼い頃に俳優「緒形拳」を異性として好きになり、役者を志す。
特技は、ピアノとバレエと剣道。ピアノは、西日本グレンツェンピアノコンクール本戦で優秀賞、剣道は初段を所持している。声と見た目のギャップと、独特の雰囲気が特徴である。

主な出演作は、『リアル鬼ごっこ』(15年・園子温監督)、『獣道』(17年・内田英治監督)、『笑う招き猫』(17年・飯塚健監督)、『いぬやしき』(18年・佐藤信介監督)、金曜ドラマ「アンナチュラル」(18年・TBS)など、多数の話題映画に出演が続いている。

映画界で今注目されている若手女優の一人である。

加藤才紀子(Sakiko Kato)佐々木萌役

1993年12月28日生まれ、東京都出身。

2016年に映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の生徒役でスクリーンデビュー。SNSの世界観が注目を集め、映画やCM、MVなど映像作品を中心に活躍。

主な出演作に、映画『泣き虫ピエロの結婚式』(16年)、『ガールズトーク』(16年・主演)、『処女について』(17年・主演)、『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』(17年)、
大仙市PR動画「LOOK UP!」(18年)など。

待機作に、映画『ある町の高い煙突』(19年公開予定)が控えている。

上原実矩(Miku Uehara)杉本明日香役

東京都出身。女優・モデル。

主な出演作品に、「放課後グルーヴ」(TBS)、『ガールズ・ステップ』(15年・川村泰祐監督)、『暗殺教室~卒業編~』(16年・羽住英一郎監督)、『ろくでなし』(16年・奥田庸介監督)、PV『SHISHAMO「君と夏フェス」』などがある。

特技は、空手、ダンス、走り幅跳び、陸上。

菅原大吉(Daikichi Sugawara)近藤哲也役

宮城県出身。水谷龍二作・演出の舞台「星屑の会」制作のプロデュース公演の全作品に出演。その「硬」「軟」自在な、しなやかな表現力で、TV、映画、舞台と幅広く活躍している。

最近の主な出演作に、映画『希望の国』(12年・園子温監督)、『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』(14年・矢口史靖監督)、『劇場版S−最後の警官−』(15年・平野俊一監督)、『の・ようなもの のようなもの』(16年・杉山泰一監督)、『64(ロクヨン)』(16年・瀬々敬久監督)、『相棒 劇場版Ⅳ』(17年・橋本一監督)、『北の桜守』(18年・滝田洋二郎監督)、TV「連続テレビ小説 あまちゃん」(13年・NHK)、「しあわせの記憶」(17年・TBS)、「大河ドラマ おんな城主 直虎」(17年・NHK)、「民衆の敵」(17年・CX)など。

小木戸利光(Toshimitsu Kokido)細野剛役

イギリスにて演劇・パフォーマンスを専攻。アーティストとして、音楽、文芸、パフォーマンス作品を発表。

俳優としてドラマ、映画、舞台、ドキュメンタリー番組に出演。2017年、NHK「あんとき、」にて主演。エッセイ集『表現と息をしている』(而立書房)を上梓する。

2018年~2019年公開映画に、『ゴースト・ヴィジョン』主演(加藤秀幸監督)、
『ナイトクルージング』(佐々木誠監督)、『菊とギロチン』(瀬々敬久監督)がある。

品田誠(Makoto Shinada)西島浩平役

1992年3月2日生まれ、北海道出身。

『Lemon&Letter』(17年・梅木佳子監督)ではミラノ国際映画祭、ベルリン国際フィルムメーカー映画祭で最優秀主演男優賞(外国語映画部門)を受賞。ほか出演作に『恋愛依存症の女』(17年・木村聡志監督)、『サイコロマンティック』(15年・柴田航監督)など。

また監督としても短編を発表し、札幌国際短編映画祭、日本セルビア映画祭などに参加。出演作、監督作を一挙上映する『品田誠特集』が東京、札幌、旭川で開かれるなど、新たな映画人として注目を集めている。

細川岳(Gaku Hosokawa)東川淳役

1992年8月26日生まれ。

『ガンバレとかうるせぇ』(14年・佐藤快磨監督)、『ヴァニタス』(16年・内山拓也監督)、『金色』(17年・布施雄規監督)、『サイモン&タダタカシ』(17年・小田学監督)、など多数の作品に出演。

公開待機作品として、『止められるか、俺たちを』(18年・白石和彌監督)、『歩けないぼくらは』(19年・佐藤快磨監督)が控えている。

森本のぶ(Nobu Morimoto)学年主任の先生(溝口)役

オフィスMORIMOTO所属、同代表。映画中心に活動。サラリーマン役からヤクザ役まで演劇界で培った表現力で役柄は柔も剛も問わず幅広い。

映画『64—ロクヨン—』『沈黙—サイレンス』『黄金を抱いて翔べ』『アウトレイジ 最終章』『龍三と七人の子分たち』『聖の青春』『14の夜』『アリーキャット』『獣道』『亜人』など数々の話題作に出演。

『サラバ静寂』『かぞくへ』では、メインキャストとして出演し、日本映画界のバイブレイヤー的ポジションを確立しつつある。

髙木直子(Naoko Takagi)近所のおばさん役

オフィスMORIMOTO所属。30代まで、主宰する劇団で主演・準主演を務め、その後フリーに転身。様々な舞台公演に出演、現在は主な活動の場を映像に移行。

周囲をホッとさせる朗らかさと落ち着きのある存在感が最大の強みながら、苦難に翻弄される薄幸な女性から優雅でゴージャスなセレブまで、演劇で培った表現力と持ち前の繊細さで幅広く演じ分ける。

『サラバ静寂』(宇賀那健一監督)、『いぬやしき』(佐藤信介監督)、『万引き家族』(是枝裕和監督)に出演。

田山由起(Yuki Tayama)報道レポーター役

オフィスMORIMOTO所属。1978年生まれ、大阪府出身。15歳の時より舞台に立ち、中国公開作『キネマの大地』(向陽監督)で映画デビューを果たす。『ジムノペディに乱れる』(行定勲監督)では、メインキャスト芽衣子役にて出演。

『紙の月』(14年・吉田大八監督)、『探偵はBARにいる3』(17年・吉田照幸監督)、『火花』(17年・板尾創路監督)、『北の桜守』(18年・滝田洋二郎監督)など話題作に多数出演。

来年2019年には、サブヒロイン作『脂肪の塊』(天野友ニ朗監督)の公開が控えている。

涼凪(Suzuna)献花に来ていた少女役

2002年5月25日生まれ。現役の「nicola(ニコラ)」(新潮社)専属モデルとして活躍中。

主な出演作品に、『ピンカートンに会いにいく』(18年・坂下雄一郎監督)、短編映画『あの電燈』(14年・鶴岡慧子)、などがある。

遠藤祐美(Yumi Endo)吉川沙織役

女優、モデルとして映画、TV、CMなどで活躍。『ろくでなし』(17年・奥田庸介監督)では、オーディションで見事ヒロイン役に大抜擢され、ヒロイン“優子”の孤独な心情の機微を鮮やかに表現。女優としての才能を開花させた。

第29回東京国際映画祭で上映された作品『かぞくへ』(18年・春本雄二郎監督)では、佳織というヒロイン役を見事に演じ、同作は2016年新人監督映画祭でグランプリを受賞している。その実力に裏打ちされた演技力は、両作共に高い評価を得ている。

飛松五男(Itsuo Tobimatsu)元兵庫県警刑事役

1964年6月、兵庫県巡査を拝命し、21歳で刑事に任用される。

以後、2005年3月に警部補として定年退官するまでの40年10カ月のうち、通算36年を捜査部門の第一線で過ごした。所轄刑事、機動捜査隊、警察本部捜査第一課などに所属し、強盗殺人事件や一家4人惨殺事件などの犯人を逮捕。

「大阪・身代金目的誘拐事件」「龍野市幼児誘拐事件」では単身で暴力団事務所に突入するなどして、被害者の救出と犯人逮捕の功績をあげた。そのほか警察署襲撃、暴力団抗争、リンチ殺人、拳銃・薬物事件など数多くの重大・凶悪事件の捜査に携わり、犯逮捕や事件解決の実績がある。

現在は元刑事の経歴を生かしたコメンテーターとして活躍している。

竹中直人(Naoto Takenaka)校長先生役

1956年3月20日、神奈川県生まれ。

1983年『ザ・テレビ演芸』(EX)でデビュー。1991年に映画『無能の人』で監督デビューを果たし、2013年の『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』まで7作を監督している。日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を『シコふんじゃった。』(92)、『EAST MEETS WEST』(95)、『Shall we ダンス?』(96)の3作品で受賞するなど、受賞歴も多数。

スタッフ

根岸憲一(Kenichi Negishi)撮影監督

1957年生まれ。高田昭、川上皓市、篠田昇に師事した後、1992年『地獄の警備員』(黒沢清監督)で撮影監督デビュー。

主な作品に『島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん』(09年・島田洋七監督)、『僕の中のオトコの娘』(12年・窪田将治監督)、『横たわる彼女』(14年・戸田彬弘監督)など。

また深田晃司監督作品を多く手がけており、映画『歓待』(11年)、『いなべ』(14年・短編)、『ほとりの朔子』(14年)、『淵に立つ』(16年・カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞)で撮影監督を務めている。

小野川浩幸(Hiroyuki Onogawa)共同プロデューサー

長崎県出身。大学卒業後、映画音楽の勉強のため渡仏。帰国後、音楽家としての活動を始める。

1994年、小説家・夢野久作の展覧会『夢野久作~快人Q作ランド~』の音楽を担当、そこで、この展覧会の監修を務める石井聰亙(現在は石井岳龍)と出会い、『水の中の八月』以降の『ユメノ銀河』(1997年・オスロ映画祭グランプリ、ソチ映画祭審査員特別賞、ベルリン映画祭パノラマ部門正式招待)『五条 霊戦記』『ELECTRIC DRAGON 80000V』『DEAD END RUN』『KYOSHIN—鏡心—』『アジアの逆襲DVD-BOX ver.』まで全ての音楽を担当する。

2016年の深田晃司監督作品『淵に立つ』(第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞、第41回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門に特別招待)では音楽を担当した。